僕が債務整理事務所で働いていた時に最も多かった相談者の悩みが、

カードローンの返済額が今よりももっと下がればなあ…

というものでした。

カードローンの支払額が多いからこそ、家計が圧迫されて、ひいては生活費捻出のための借入を繰り返す悪循環に陥るわけですからね。

返済額を下げたいという相談が多いことも頷けます。

僕が抱えている残り260万円の奨学金の返済も、月々2.3万円と低めに設定されているからこそ何とか払えているものの、もし月々の返済額が6万とか7万円だったら、はるか昔に詰んでいたと思います。

僕だけでなく世の中のほとんどの奨学金利用者が破産に追い込まれるでしょう。

借金というとその額に注目が行きがちですが、返済していけるかどうかは月々の返済額が重要であることは、借金をしたことがある人であれば誰でも理解できるものです。

家計に余裕がない場合、借金の返済額が1万円でも下がればメリット大ですよね?

あと1万円家計の負担が軽くなれば借りたくもないお金を借りずに済んだのにという借金持ちの人も相当数いるはずです。

では、法律事務所で任意整理を依頼すると、

いったいどの程度まで返済額を下げることが可能なのでしょうか。

  • 任意整理で今よりも返済額が下がる?
  • で、任意整理で返済額はいくら下がるの?

といった項目順に記事をまとめました。

任意整理で今よりも返済額が下がる?

冒頭で述べた通り、借金の問題を抱えて法律事務所に持ち込まれる相談のなかで、ダントツで最も多い要望が、

少しでもいいから今よりも返済額を下げてほしいです!

マジでなんとか頼んます!

といった要望です。

すでに融資停止の状態に陥ってしまって

もうどこからも借りられない、

収入UPも見込めない

という状況であれば、

誰がどう考えても、最も効果的なアプローチは今よりも返済額を下げることです。

そしてこのアプローチは、一般の方のみならず専門家にも当てはまります。

依頼を受けた弁護士や司法書士はまず返済額を下げるように相手と交渉して解決できそうか否かを検討するのが基本です

いきなり破産を考える専門家は少数なんです。

カードローンの返済額を上手く減らすことができれば、家計に余白を生むことができ、返済しながら生活を維持していく目処が立つわけですからね。

要は、家計が黒字になればOKということです。

そして多くの場合、任意整理(交渉)で返済額を下げることは可能です。任意整理手続きを利用することで、依頼者によっては返済額が半分以下になる人も珍しくありません。

ただ、問題はいくらまで返済額が下がるのか?という点です。

例えば100万円の借金を1000円づつ返していきたいと言っても、そはさすがに無理だわ、ということは分かりますよね?

物事には相場というものがあります。

では、任意整理における返済額減額の相場とはどのようなものでしょうか?

で、任意整理で返済額はいくら下がるの?

結論からいうと、

60回払い

が相場であり一つの目安です。

100万円の借金だったら、100万÷60(回)=約1,7万です。
(*利息は0になり、元金のみになることが前提)

細かい話をすると、返済する際の振込手数料や事務所費用の支払いを加味する必要があるので、1.9万程度で見ておいたほうがいいとは思いますが、60回払いまでなら交渉で飲んでもらえることがほとんどです。

ただこれはあくまでも原則ですので、相手方業者や取引期間(相手に利息を何回払ったか)にも左右されます。

基本は60回払いで交渉できますが、借りた相手が強硬な態度を取ってくる業者だと

36回払いじゃないと認めへんで!

とか、言ってくる業者もいます。

ネットでは36回~60回で分割交渉できます、といった記載を見かけますね。

でも、これはちょっと不正確かなと思います。

実際は、相手によっては80回払いという超長期で和解を組めることもあれば、逆に12回だの24回だの言ってくる業者もあります。

どんなに交渉を頑張っても36回より良い条件で交渉できない業者があるのも事実ですし、逆に(滅多にないことですが)以前勤めていた事務所では、なんと100回払いで和解が成立したのを見たことがありあります(笑)

このように、任意整理は交渉(話し合い)なので、何回払いにしなきゃいけないというルールはないわけですが、なんとなく法律事務所と貸金業者との間で、60回払いが基本っていう暗黙の了解があるといった感じですかね。

さて、あなたの借金を60分割すると返済額はいくらになりますか?

それが任意整理した場合に下がる返済額の目安です。

特殊な例-ボーナス払い併用

先程の借金100万円の例ですが、

1万7,000円でも辛いなあ、もっと減らすことできないですか?

このようなお願いをしてくる相談者もいます。

これに関しては、賞与があれば上手くいく確率がぐっと高まります。

住宅ローンでもお馴染みのボーナス払い併用というやつです。

ボーナス月の7月・12月は多めに払うから、その他の通常月は返済額を低めに設定してくれへん?

ということであれば、そのような内容で和解を組めることもあります。

例えば、夏・冬合わせて返済にまわせるボーナスの額が20万だったとします。

そーすると、(100万-20万)÷60(回)の計算となりますので、通常月の返済額は1万3,000円~1万4,000円近くまでの減額が見込めることになります。

もしボーナスを返済にまわせるのであれば、弁護士や司法書士に、ボーナス併用払いでの和解をお願いします、と言ってみると良いでしょう。

まとめ

任意整理をすると、借金の返済額を下げることができます。

そして、どの程度まで返済額を減らすことができるか、すなわち何回払いまで相手に飲んでもらえるかは、

60分割が一つの目安です。

交渉の条件は相手にもよりますが、60分割までなら(利息無しで)和解を組んでくれる業者が大半。

逆に、60回を超えての交渉はかなり厳しくなってきます。

仮に60回分割で和解を成立させたとしても和解後に返済していけないような家計の状況なら、

辛いかもですが…

破産(あるいは再生)を視野に入れざるを得なくなってきます。

債務整理を検討している人はもちろん、債務整理するほど私はまだ返済に困ってないよ、っていう人にも伝えておきたいのですが、

任意整理を実際に踏み切るか否かにかかわらず、今回紹介した60回払いという基準は是非とも覚えておいてほしい。

なぜなら、この基準を知らなかったばっかりに、任意整理に踏み切るタイミングが遅れてしまい自己破産するしかなくなってしまった人を嫌というほど見てきているからです。

そして、借金に少しでも不安を感じているならなるべく早い段階で法律事務所に相談したほうが家計の防衛になると思います。

確かに60分割で和解を組める業者は多いですし、それが原則と言ってもいいです。しかし原則はあくまで原則、全ての業者には当てはまらないことも事実です。

各々のケースに合わせたより正確な情報を得るには実際に相談するしかないと思います。

今の時代はある意味恵まれており、金問題については無料相談を受け付けているところが多いです。

(一昔前は、法律相談は有料が当たり前だったはずです)

実際に法律事務所を訪れるのが躊躇するのなら、電話やメールでの相談でも全然アリです。

私が勤めていた事務所でも、とりあえず話を聞いてみるという形で電話が来ることは日常でした。

私は、まだそこまで返済に困ってない

債務整理するほど落ちぶれていない

っていうんだったら、それだったら尚更早めに相談を視野に入れてほしいです。

実際に相談することで、どのラインまで借金の額が増えたら手続を踏まざるを得ないか、ということも見えてくるはずです。

借金をすることが必ずしも悪とは言えないですが、『これ以上借りたら詰む、破産しか選択肢がなくなる』というデッドラインを知っておくことは最悪のシナリを免れるためにも重要です。

繰り返しになりますが、僕は借金整理の現場で、極限まで引張に引っ張ってから行動に移しても時すでに遅かった…というケースを嫌ほど見てきました。

残念ですが、法律事務所も神様ではないので力には限界があります。

だからこそ、仮にでいいので、もし今任意整理をしたとしたら借金の額がいくらまで減るのかを具体的な情報として入手しておきましょう。

それを知っているかいないかで、実際に動き出すタイミングの適否に雲泥の差が出ます。

借金に不安を感じているんだったら今直ぐにでも必ず任意整理しろと言っているわけではありません。

いざという時に備えて情報を仕入れておきましょう、シュミレーションをしておきましょうよということです。

単に知っていただけということが人生を救います。

単に知らなかっただけということが人生を壊します。

知っているか、知らないか、これが借金解決の分かれ道。

情報は大切です。