こんにちは、元債務整理事務所勤務のこーしんです。

銀行カードローンだけ任意整理から外したい

銀行カードローンだけ任意整理で残せるの?

任意整理が気になりつつも銀行カードローンをどうするか悩んでい人へ向けて、

  • 任意整理で銀行カードローンは残せるの?
  • 普通のカードローンと銀行カードローンの違いは?
  • 結局、銀行カードローンを外したほうがいい場合は?

といった項目順に記事をまとめました。

結論からいうと、注意すべき点はありますが銀行カードローンも普通のカードローンと変わりません。

任意整理で銀行カードローンを残したいって?

たまに銀行のカードローンを手続から外したいと希望する相談者の方がいます。

任意整理手続きしたい借入先を選べるのが使い勝手の良いところであるので、銀行カードローンだけ外すことはできます。

ただ大事なのは外したい理由です。

銀行は敵にまわしたくない!

大変なことになりそうだ!

このように何となくの雰囲気やイメージで外すと損になるだけです。

ですので仮に手続きから外すとしても、普通のカードローンと銀行カードローンでどんな違いがあるのかを知った上で判断したほうがいいでしょう。

普通のカードローンと銀行カードローンの違いは?

まず前提として

債務整理の手続き上、通常のカードローンと銀行カードローンで基本的な違いはないということです。

銀行が相手だから交渉できないとかそーゆうことはないです。

ただし違うのは銀行口座の存在。

口座の有る無しです。

プロミスには口座はありませんが三井住友銀行には口座がありますよね。この違いが手続きの流れに影響するんです。

じゃあどう影響するのか?

債務整理をするとなると最初にやることは受任通知の発送です。

法律事務所から相手方宛に「このひと債務整理しまーす」っていう通知が送られるのです。

このとき通常のカード会社であれば、

了解しましたあ~、じゃあ催促するの止めまーす

で終わりなんですけど、銀行の場合は

了解しました~、じゃあ催促するの止めまーすといった返答に加えて、

じゃあ代位弁済(業界用語ではダイベンという)手続きに入りますので口座を凍結します

といったオマケがつくのです。

代位弁済って何?保証会社の存在を知ろう

代位弁済って何?っていうことですが…

代位弁済とは銀行が保証会社に依頼してあなたの借金を肩代わりしてもらうことです。

保証会社=借金の保証人と考えてOKです。

そして銀行や信用金庫のカードローンにはほぼ99%の確率で保証会社がついています。

保証人不要!!

が宣伝文句の銀行カードローンですが、実は銀行は自分たちが焦げ付かないよう借り主が払えなくなった場合に備えて保証会社を手配することで事実上の保証人をつけているのです。

銀行が無担保・保証人無しで私たち一般市民にお金を貸すことは無いと思って良いでしょう。

例えば、

三井住友銀行のカードローン(緑色のカード)の保証会社はプロミスです。

UFJ銀行で商品がバンクイックだったら保証会社はアコム、商品がUFJ-VISAだったらニコス

こんな感じでローンの商品ごとに保証会社が決まっています。

知らない人も多いのですが、銀行と消費者金融や信販会社は裏で繋がっているのです。

法律事務所から三井住友銀行へ通知が到達するとプロミスが代わりにあなたの借金を払います。これを代位弁済と呼ぶのでしたね。

そして代位弁済手続きをする過程の中で銀行の内部的な事務処理の都合上、あなたがその銀行にお持ちの口座が支店問わずすべて凍結される流れになります。

代位弁済手続きさえ終了すれば、あとは一般の任意整理の流れと変わりません。

しいていえば銀行が登場人物から抜け落ちて保証会社が交渉相手になるとうい点でしょうか。

先程の例でいうと三井住友銀行→プロミスへと借金が移り、

法律事務所はプロミスと交渉、

交渉成立後はプロミスに返済していく流れになります。

口座凍結って怖くない?

代位弁済の過程で銀行口座は凍結されます。

凍結されるとはつまり、お金の入出金ができなくなるということです。

口座凍結と聞くと何だかおっかない響きがしますが、雰囲気に流されず理屈を知ることが大切です。

凍結になるのは決して銀行からの嫌がらせではありません。代位弁済の事務手続き上そうなるだけです。

とはいえ口座凍結に際して注意点もありますので以下に記載しておきます。

注意点
  • 口座は空にする(絶対!)
  • 凍結されるのは全ての支店の口座
  • 給料口座なら振込先を変更する
口座は空にする(絶対!)

法律事務所から銀行に通知が届くとその時点で口座が凍結されます。

このとき絶対にやってはいけないのが口座にお金を残したままにしておくことです。預貯金と借金が相殺されるのを防ぐ必要があるからです。

銀行は保証会社から借金を建て替えてもらえればそれで済むわけです。とはいえ口座に預貯金があるのであれば「そのぶんは借金と相殺させてね~」と言いたくなるのは当然です。そのほうが効率的ですから。

例えば三井住友銀行に100万の借金あって、

住友銀行の口座に預貯金が20万が眠っている状態でそのまま放置すると、20万円が相殺されて80万円だけがプロミスに移ることになります。生活費のことを考えると、20万円の預貯金が相殺されるのは痛いです。

口座凍結になるとお金が引き出せなくなります。法律事務所への依頼が決まれば依頼したその日の内に口座は空にしておきましょう。

空にすることで相殺は防げます。

空にしたからといって銀行から文句を言われることもありません。

凍結されるのは全ての支店の口座

凍結されるのは全支店の口座です。

一つの銀行で口座を複数お持ちなら全ての口座からお金を抜いておく必要があります。

なお、凍結されるのは手続きの対象となる銀行のみです。手続きとは無関係の口座はそのまま使えます。三井住友銀行に通知を送ったからといってみずほ銀行の口座が凍結されることはありません。

給料口座なら振込先を変更する

手続きの対象となる銀行が給料口座ならば振込先を変更しておく必要があります。

いったん口座が凍結されるとしばらくお金が引き出せなくなりますので、給料は別の銀行に振り込まれるようにする必要があるのです。

給料以外にも年金や児童手当など、収入となるものは全て他の銀行口座に振り込まれるように変更します。ただし直ぐには無理でしょうから、変更手続きを待ってから法律事務所が銀行に通知を送るのが通常の流れです。

給料口座が指定になってる場合は悩ましいよね…

銀行カードローンを任意整理に含める場合は給料口座を変更してからにするのが基本的な流れでした。口座凍結になって給料が引き出せなくなると困るからね。

でもね。

給料口座が指定になってるから変更できないです、

っていう勤務先もあるんですよね。最近は特にそういった職場が多いように思います。

給料口座が指定になっている場合は悩みますねえ。

事務所や担当弁護士(司法書士)によって判断はまちまちなんでしょうけど、こういったケースはやむを得ず銀行ローンだけ手続きから外すこともあります。

理解のある銀行であれば給料を上手く引き出せるように手配してくれるところもありますが、その場合はいつものようにキャッシュカードで給料を引き出すのではなく、

窓口にいって引き出す

あるいは

銀行から勤務先に振り込まれた給料が払い戻されて、改めて勤務先から手渡しで受け取る(あるいは別口座に振り込んでもらう)、

いずれかのパターンがほとんどです。

口座凍結はいつまで続く?

銀行によります。

凍結された口座は1ヶ月~3ヶ月で復活するのが通常です。

銀行によっては一生凍結のままというパターンもあるようですが、あくまでも手続きの対象となった口座が使えないということであって、その銀行の口座を持てないということではありません。

その銀行で口座を持つのであれば口座を新しく作ればOKです。

そもそも口座を持つことは銀行にお金を貸す行為なので銀行としても拒む理由は無いはずです。

僕の経験上、

代位弁済手続きが終わりましたので口座を復活させます。以前のキャッシュカードは使用不可となりますので新しいキャッシュカードの発行手続きをお願いします、

といった具合に、口座は復活、しかしキャッシュカードは再発行といったパターンが多いように思います。

銀行引き落としにしていた支払いはどうする?

口座を空にすることで、引き落としになっているものは払えなくなりますよね。

じゃあどうするか

以下の対応が考えられます。

  • これを機会に引き落とし先の口座を他の銀行に変える
  • 口座が復活するまで放置。その間は紙の請求書で支払う

生命保険など解約を避けたい支払いがあるのなら、

しばらく口座にお金を入れられないので請求書を自宅に送ってください、

と事前に伝えれば対応してくれるはずですし、

携帯料金や光熱費などは放置しておいても引き落としがかからなければ勝手に請求書の紙が送られてきます。

生命保険は支払いが数回遅れると強制解約といった取り扱いがされる会社もあるので、心配であれば保険会社に事前に伝えたほうが無難でしょう。

結局、銀行カードローンを外したほうがいい場合は?

結局、銀行カードローンを手続きから外したほうがいい場合って、

  • その銀行の口座が給料指定だった
  • その銀行の借入額が任意整理するに値しない程度の少額だった
  • その銀行の保証会社が車のローンとかぶってた
  • その口座を空にするのが難しい何らかの事情がある(本人以外の家族が管理しているなど)
  • その銀行の保証会社が交渉不可のヤバイ業者だった(滅多にない)
  • その銀行の借入に保証人や担保を付けていた(滅多にない)

くらいかなーって思います。

こうやって並べると割と多いような気もするけど、債務整理の仕事をしていて実際に直面するのは給料口座指定と車絡みの2パターンがほとんど。

地方で債務整理の相談を受けていると

銀行は敵にまわしたくない

銀行は大事になりそうだから手続きから外したい

っていう相談者が高齢者を中心にとても多いんですけど…

代位弁済のところで説明した通り、銀行からの借入であっても実際には銀行ではなくて裏にいる保証会社、つまり消費者金融や信販会社から借りているのに等しいんです。

銀行カードローンを特別視する理由はありません

銀行口座を空にしておく点さえ注意すれば普通のカードローンと同じです。合理的な理由もなくなんとなく銀行カードローンを手続きから外すのはおすすめしないです。

それに銀行のカードローンだけ残しても、結局は信用情報の影響でいずれカードが利用停止になる確率は高いです。だったら最初から手続きに含めておきましょうよ、ってことです。

まとめ

銀行カードローンを手続きから外して任意整理することはできます(破産はダメ)。

しかし手続きから外したほうが良いパターンって限られますので、明確な理由も無しに銀行のカードローンを残すのは得策ではないです。

  • その銀行の口座が給料指定だった
  • その銀行の借入額が任意整理するに値しない程度の少額だった
  • その銀行の保証会社が車のローンとかぶってた
  • その口座を空にするのが難しい何らかの事情がある(本人以外の家族が管理しているなど)
  • その銀行の保証会社が交渉不可のヤバイ業者だった(滅多にない)
  • その銀行の借入に保証人や担保を付けていた(滅多にない)

これらのケースに当てはまらないのであれば、銀行カードローンも手続きに含めるほうが返済も早く進むはずです。

任意整理手続きしても口座は持てますし銀行を敵にまわすこともありません。

リスクを避けるのはとても大切な考えですが、そのリスクが単なる思い込みだった場合、結果的に損をしてしまうことになります。

しっかりと情報を得て損をしない選択をしましょう。