こんにちは、元債務整理事務所勤務のこーしんです

家族や周囲に借金のことを秘密にしている人はとても多く、

借金整理の仕事をしていた時も、

旦那に内緒のまま借金の問題を解決したい

勤務先にバレたくない

といった要望はとても多かったです。

債務整理事務所で働いていると、

借金の負担を減らせるなら手続きはしたいけれども、

絶対に絶対に秘密にしたい!

といった要望は当たり前のようにあります。

さて、ネットでは「家族に秘密のままでも任意整理はできる」っていう記載を頻繁に目にしますが、果たしてそれは本当でしょうか?

今回は、

  • 任意整理だと周囲に内緒のまま手続きできるって本当?
  • 任意整理が内緒で手続きできる理由
  • 夫や子供、家族に秘密にしたい
  • 勤務先に秘密にしたい
  • ブラックリストに登録されて家族や勤務先にバレることはないの?
  • 破産だと家族に秘密にできないの?
  • 破産すると勤務先にバレる?

といった項目順にまとめました。

任意整理だと周囲に内緒のまま手続きできるって本当?

本当です。

内緒で手続きできるのが任意整理の大きなメリットです。

借金の額がそれなりに多いにもかかわらず、あえて任意整理を選択する理由の3割~4割くらいは

周囲に秘密のまま完済したいから

といった印象があります。

任意整理が内緒で手続きできる理由

任意整理はとても簡素な手続きです。

特にこれといった書類を出す必要がありません

ところが破産や再生であれば、

同居家族の給与明細や源泉徴収票、通帳など

依頼者の家族の協力を得ないと準備できない必要書類がでてきます。

家族の協力を得ないと必要書類を揃えられないので、

破産や再生だと家族内緒で手続きができないのが一般です

他にも、破産の場合は保証への請求や車の引き揚げがネックで秘密にできないこともありますが、その点は後述します。

夫や子供、家族に秘密にしたい

任意整理は同居の家族にも秘密にできます。

実際に「夫や子供に秘密にしたい」という人はとても多いです。

いくら自分に非があるとはいえ借金のせいで家族が壊れるのは嫌なものです。

秘密にしたいという需要があるのももっともだと思います。

前述のように、任意整理であれば家族に関する書類(夫の通帳とか給与明細とか)は求められません、

それどころか本人の収入証明書類すら求められないがことがほとんどです。

ただし、任意整理をする上での注意点もあります。

保証人付きの借金や家族カードには注意!

家族に内緒にできるのが任意整理のメリットです。

しかし不覚にも家族にバレってしまったケースもあります。

だいたいが以下のケースです。

  • 家族カードが原因でバレた
  • 保証人へ請求がいってしまった
  • 請求書を家族に見られてしまいバレた

まず家族カード

家族カードを任意整理した場合、

親亀がこけたら子亀もコケる」といった状態になります。

Aクレジットの親カード(あなた名義のカード)

Aクレジットの子カード(あなた名義のカードだけど他の家族が所持している)

この事例において、

親カードを任意整理すると子カードも使えなくなります。

ゆえに、子カードを使っている家族は「あれ?カード使えなくなったぞ」となるわけです。

そうなってしまうとバレる確率がいっきに高まります。

 

次に、保証人付きの借り入れを整理した場合。

基本的にはカードローンで保証人をつけることはあまりないのが通常です。

あるとすれば車か住宅、あとはエステ商品や家電など低金利で分割購入した場合でしょうか。

でもたまにあるんです。

普通のカードローンでも保証をつけてるやつ(オ○コに多い気がする)。

保証人付の借金を外さずに手続きに含めちゃうと、保証人へ請求がいっちゃうんで。保証人が夫になっていた場合は、夫にバレます。

借りるときに他の誰かの印鑑を押した記憶がなければ大丈夫ですが、

どうだったかな、忘れたな、不安だなっていう人は、

借りた時に交わした契約書の写しを確認するか、クレジット会社に電話して確認するかしましょう。

家族カードや保証人にまつわるトラブルは、弁護士や司法書士も気にするところですが、本人が申告しない以上どーしようもないという側面もあるのが事実です。

家族カードや保証人については、私が勤めていた事務所でもトラブルになったことがありまして…注意したいところです。

特に家族カードの問題は専門家でも見逃しがちの印象がありますね。

最後に、

うっかり自宅に置いてあった催促書類を見られてしまいバレちゃいました…という何とも残念なパターンはは意外にも多いです。

法律事務所に依頼したから一安心、

ってことで油断したのかもしれませんね。゚(゚´Д`゚)゚。

せっかく秘密で手続きできるはずの任意整理を選んだのだから、本人のうっかりミスによって家族にバレちゃったっていうオチは避けたいところです。

勤務先に秘密にしたい

任意整理は家族はもちろん勤務先にもバレず手続きができます。

このことは正社員、パート、アルバイトを問いません。

会社に秘密にしたいという相談もとても多いです。

家族はまだいいけど、会社にバレるのは絶対に嫌だ!

といった具合に、

借金がバレることに対する拒否反応は、家族よりも会社のほうがずっと強い印象がありますね。

会社にはバレないですよね?

会社には絶対にバレないですよね?

勤務時代に何度聞かれたことか…

「会社にバレても全然いいっすよ」っていう人もたまにいますがハートが強いなと思います^_^;

ちなみに会社に秘密のまま手続きしたいのであれば、

会社からお金を借りていない限り(社内貸付の制度の利用)、

任意整理だけでなく、破産や再生でもバレない可能が高いことがほとんどです(後述)。

ブラックリストに登録されて家族や勤務先にバレることはないの?

これもよく受けた質問です。

結論からいうと、ブラックリスト(=信用情報)が原因で直接家族や会社にバレることはありません。

ブラックリスト(=信用情報)は本人以外閲覧できないからです。

厳密に言いうと

ブラックリストっていものは存在せず、

存在するのはその人の返済能力を表す資料、すなわち信用情報というデータです。

支払いが2ヶ月以上遅れたり(任意整理や破産などの)債務整理をすることで、信用情報に支払い事故があった旨が記載されるわけですが(事故登録といいます)、

この信用情報なるデータは銀行やクレジットカード会社など、

お金を貸すことを業種としている組織しか閲覧することができません。

家族や勤務先はもちろん、依頼を受ける法律事務所も勝手に閲覧することは不可能です。

ブラックリスト(信用情報)については「家族といえども他人」という扱いをされます。

ただし、信用情報に事故登録がされると、その影響で手続きから外したカードも含めて利用停止になる可能性があるので…

だから、あなた名義のカードを他の誰か、例えば夫が所持しているのであれば、その点については注意しましょうねとだけ伝えておきます。

急にカードが止まると怪しまれますから。

破産だと家族に秘密にできないの?

任意整理と違って破産は同居の家族に内緒のまま手続きするのは難しいです。

ネックになる主な点は以下です。

  • 必要書類
  • 保証人付きの借入
  • 財産の没収(主に車や住宅)

必要書類が理由で秘密家族に内緒NG

破産や再生は裁判所を通した手続きですので同居の家族には内緒にはできないのが通常でして、

家族の協力を得ないと準備できない書類を揃える必要があるのが理由です。

例えば、破産をする際には毎月の光熱費の額を証明しなければいけません。

ゆえに家計の光熱費が本人以外の名義の口座から引き落ちている場合、本人名義以外の通帳を提出する必要があります。

いくら家族といえども、夫の通帳を勝手に持ち出すのは難しいですよね。

ほかには、

破産では領収書等に裏打ちされた詳細な家計簿も提出する必要がありますが、これも家族の協力無しでは難しいです。

適当につけただけの家計簿がNGなのは言うまでもないです。

裁判所に厳しくチェックされますので。

じゃあ、もし家族の必要書類を揃えることさえできたら、家族に秘密のまま破産できるの?

って勘づいた方もいるかもしれませんが、

結論からいうとできます。

ごく少数ですが同居家族に秘密のままやっちゃう人もいるのは事実です。

だから破産=秘密NGというのはあくまで可能性の話であって絶対ではないんです。

ただ、具体的にどういった書類が必要になるかは手続きを進めてみないと分からない側面があるのが破産や再生の特徴で、不要だと思っていた書類が予想外にも裁判所から求めることもあります。

例えば旦那さんの署名がある書類を提出してくださいと裁判所から言われたらその時点でアウトです。

偽造でもしない限り準備は不可能。

破産にはそういった不確定の要素があるんですよ。

それを理解しているからこそ、

担当する弁護士や司法書士は破産希望者に対して、

家族の協力が必要になりますので…破産であれば内緒のままでは無理ですね、

と答えるのが一般です。

安易に秘密のままでも大丈夫です、とか言っちゃうとあとで揉めますし。

事実、結果的には秘密にできないことがほとんどなので。

別居の家族だったら問題にならないことが多いけどね

必要書類がネックで家族に内緒はムリ!

っていうのは同居家族の場合の話であって。

別居かつ完全に別家計

であれば、提出する書類は純粋に本人のものだけで事足りることがほとんどです。

独身一人暮らしのように、家族とは完全に別家計で暮らしているのであれば、基本的には出す書類は本人に関するもののみになるので、家族に秘密のまま破産できる可能性が高くなります。

逆に、夫が単身赴任で、夫から振り込まれる給料をメインに子供と暮らしているというのであれば難しいでしょう。

保証人付きの借入ありで破産するとバレます

保証に付きの借入がある状態で破産や再生をすると、

確実に保証人に請求が行きます。

すなわち、保証人にバレます。

夫を保証人に立ててると夫へ請求が行きます。

通常のカードローンは保証人をつけないことがほとんどですので、

保証人が問題になるのはだいたい住宅ローンか車ですね。

一般に保証人になっているのは親族だと思いますが、

破産する場合は事前に打ち明けることが必要になるでしょう。

もし打ち明けることがが難しければ、

保証人付きの借入を手続きから外して任意整理を選択することになると思います。

保証人に迷惑をかけたくないから保証人付きの借金だけ手続きから外したいと言っても、破産法のルール上それは許されないんですよ。再生も同様です。

車の没収で家族にバレるよね

破産や再生をするとローンがまだ残ってる車や家は没収になります。

ローンが終わっている車であれば価値(売却時の査定価格)次第です。古い車なら無価値とみなされて没収は免れます。

ちなみに没収対象は名義が本人の場合のみです。本人以外の名義の財産は没収されません。家族といえども他人の財産という扱いになるので。

住宅は言うまでもなく、

車が引き揚げになると、

あれ?

車どーしたの?

って不思議に思われるのが通常です。

このへんを上手く言い訳できれば車の没収が原因でバレることはないのかもしれませんが。

いずれにせよ、(ローンの残っている)車の引き揚げを避けたければ、破産や再生はふさわしくなく、任意整理を選択することになります。

破産すると勤務先にバレる?

任意整理であれば、勤務先にバレることは確実に防げます。

破産だとどうでしょう。

実は、家族に秘密と違い、破産であっても勤務先にバレるケースは意外に少ないです。

勤務先にバレるとしたら

  • 会社から借入をしている
  • 退職金証明の取得で勘ぐられる
  • 官報を見られる

といったところでしょうか。

秘密保持の観点からいうと、

会社から借入をしているという状況が一番アウトす。

他の二つはあまり問題になりません。

確実にバレるのは、会社から借入をしているパターンです。破産であれば会社からの借入も手続きに含める(=会社からの借金も破産でチャラにする)必要があるので、この場合は避けられません。

法律事務所及び裁判所から会社宛に「このひと破産しまーす」っていう通知がいくのでモロバレです。免れません。

ほか、退職金証明の取得とありますが、破産手続上において退職金は財産にカウントされるんですよね。

そして本人が所有している財産の額を証明するために、退職金見込み額証明書っていうのを会社から発行してもらう必要があります。

あまり発行機会のない書類なので、もしかしたら勘の鋭いひとは気づくかも…っていうところでしょうか。

なお退職金証明が必要なのは正社員であることが一般です。

パートやアルバイトであればそもそも退職金はないだろうと裁判所から判断されます。ゆえにパート主婦であればこの点が問題になることは無いです。

また、

破産をすると官報という国が発行しているマニアックな新聞にあなたの名前と住所が載ります。お悔やみ申し上げますみたいなもんで、破産者の欄ってあるんですよ。

そして、官報については金融機関や保険会社など、一部の業界を除けば社内でチェックされることはまずないはずです。

仮に官報であなたの名前を発見したとしても、言わないのでおくのが人間でしょうし。

官報がネックで破産を拒む人は相談者の中でもごく一部といった印象です。

まとめ

借金の返済に不安があっても、任意整理を選択すれば家族や勤務先に秘密のままで借金を解決できます。

しかし、それはあくまで任意整理で解決できる額であることが条件です。

任意整理では解決が難しいほどに借入が膨らんでしまっては、家族に打ち明けなければいけない可能性が極めて高くなってきます。

もちろん勇気を持って打ち明けたからこそ、家族や親族の協力が得られてサクサクと解決に向かったというケースもありますので、

一概には秘密のままで債務整理することがベストだとは言い切れません。

それでも、

私は秘密のままで完済まで漕ぎつけたいんだ!

絶対に秘密なんだ!

っていう人は、任意整理で解決できるうちに早めに行動したほうが良いのは間違いないでしょう。

債務整理事務所で働いていると、依頼者のお金の問題を解決することではなく、秘密を守ることが自分たちの仕事なんだと感じることがたまにあります。

債務整理事務所では、事務所名義での郵送物が自宅に届くと家族に怪しまれるのは必須ですので、郵送物や電話の時間帯にも注意して仕事してるんですよね。